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2006年8月 1日 (火)

怨み屋本舗

Uramiya14_02 集英社ビジネスジャンプにて連載中の「怨み屋本舗」。ドラマ化され、テレビ東京にて毎週金曜深夜24時12分より放送もされている。

ドラマが面白かったので原作もチェックしてみたわけだが、非常に痛快な作品だ。年齢も名前もわからない、ただ「怨み屋」と名乗る女性が、依頼人に代わってその恨みを晴らしていく。その姿が、ひたすら小気味良い。

依頼人の抱える恨みは様々だ。例えば「養父に毎晩犯されている」「妻が若者四人に輪姦された上、殺されたが殺人の証拠も不十分であり彼らが未成年であるため相応の罰が下されない」「時効を迎えた殺人犯が、その殺人事件を語ることによりそれなりの社会的地位を得ている」など。

その他たくさんの怨みのケースがあるのだが、共通しているのは主に「犯人(怨みの対象となる人物)に全く反省の色がない」「犯人のいらぬ思い込みなどで災難がふりかかっている」「犯人の感受性が乏しく、非人間的な行為が突発的におこなわれている」の三点。どれもこれも個人にとってはテロのような犯罪行為が描かれており、また犯人は罪の重さに戦慄くどころか反省もしない。その上、そのような犯人が法律をくぐりぬけ、お天道様の下を堂々と歩いている。このように読者がより作品に入り込めるよう、誰もが苛立ちを覚えるような怒りの対象をしっかりと描く作者の手腕は素晴らしい。

しかし、どうだろう。本当にある現状ではないだろうか。

実際この作品で浮き彫りにされたものの一つとして、司法の無意味さが挙げられる。もちろん司法も被害者の無念を晴らすためだけに機能しているわけではないので、被害者が浮かばれない結果が出ることもあるだろう。けれども、山口母子殺人事件などで見られるような、あまりに罪と罰のバランスが取れない判決が下されるケースがやたら目につく昨今だ。罪の重さを知らしめるだけの法律も完備されていない現在、良心の痛みも感じぬままに犯罪に手を染める人間がどれだけ多いことか。被害者は怒りのやり場もないまま、泣き寝入りするしかないのだ。

本作品ではこのような被害者に依頼を受けた怨み屋が、内容と金額に応じ着実に怨みを晴らしていく。その仕事の的確さにはプロ意識すら覚えるし、年齢も名前も一切わからないという謎めいたセッティングがよりヒーローめいた存在感を醸し出し、怨み屋とはまさに被害者にとっての救世主的存在なのである。現実社会の救世主であるべき司法が頼りないせいか、マンガではより痛快に感じる。お暇な方、興味を持った方、ぜひ手にとっていただきたい。

ただ…残念なのは、巻が進むごとにこのヒーロー感が強まっていることだ。モグリっぽくて、仕事に私情を挟まず必要以上の同情も持たず、サラリと着実に仕事をこなす怨み屋のカッコよさが霞んでしまっている。まるで世直し屋のような存在感になってしまっていて、さながら去勢されてしまった現代のアニメ・ルパン三世のようだ。一般ウケするためには仕方がないのかもしれないが、キャラクターの原点があまり活かされていないと物足りなさを感じる。怨み屋とは人の重たい怨恨を抱え向き合わねばならず、その泥臭さが他のヒーローと違うカッコよさなのだ。

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