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2006年10月 5日 (木)

金太郎的な出会い

サラリーマン金太郎、と聞いて思い出すのは何だろうか。爆発的な破壊力を秘めたAT機であったこと、あるいはTBSの人気ドラマであったこと、こうしてみると「金太郎」は様々な場面で活躍しているのだなと実感する。本宮ひろ志先生による原作・漫画「サラリーマン金太郎」もヤングジャンプで連載再開されており、大らかな優しさと野性的な破壊力を備えた金太郎の姿は、今なおあらゆる読者の支持を得ている。

大地に足をしっかりつけ、常にまっすぐ、笑顔を絶やさず、苦難にも正面から向かい、強きも弱きも誰もがハッピーエンドを迎えるよう仕事をこなす金太郎は、確かに理想の人間像かもしれない。
彼は誰のどんな泥臭さからも逃げず、あらゆるものを素直に受け止める包容力があるように見える。そして受け止めた人間や仕事など、何らかの対象に対する責任感も人一倍厚いようだ。けれども適度なだらしなさも持っており、聖人君子っぽい近寄り難さも感じない。むしろ親近感の湧いてしまうようなヘマをする。
まさしくヒーローそのものの存在感であるのに、どこかで不完全な人間味を感じさせるのが…「金太郎」の魅力であろう。

しかし、この「金太郎」の持つ完全な部分。それは一体何か。

漫画を読まれた方ならお判りだろう。運である。この男、持っている運が普通の人間が持つそれと、ケタ違いなのである。人助けをしてみればどこぞの会社の重役や大金持ち、女と出会ってみれば日本でもトップクラスの政治家・会社役員にも顔がきくママ、そして未だに暴走族時代の仲間はツルの一声で駆けつけてくる。しまいには金太郎の父が吹雪の中助けた相手は、どんなチンピラも震え上がるヤクザの大親分と……いやはや、なんとラッキー親子かと読んだときは溜息をついたものだ。

さながらDNA遺伝子のように、人間が無数に繋がって人間社会を形成している。その中で楽しく快活に生活していきたいのであれば、心を通わせる相手が大勢いるにこしたことはないし、自分を好きになってくれる相手は一人でも多い方が有難く嬉しい。尚且つ欲を交えれば、そういった相手が社会を狡猾にすり抜けていけるような力――財力など権力めいたもの――を持っていてくれると、心強い。

「金太郎」はいとも簡単に、それでいて相手の喜ぶようなカタチでそんな人間関係を手中にしていて、読者として羨望を抱いた。と同時に「良いコトをすると返ってくるものなんだなぁ」と、まるで昔話が教える漠然とした倫理観も感じた。

というわけで、私は、目の前で困っている方がいれば、それなりに、自分が出来る形で応えるようにしている。

昨日のことだが、夕方、道端を歩いているお婆さんを見かけた。道端といっても家の近所で、ちょっとした商店街などが乱立している賑やかな通りを抜けた坂だ。すぐ隣にはどこぞの学校があって、街路樹が道路と学校を割く結界のように乱立し、坂の向こうには沢山の住宅がある。言ってみれば、閑静な住宅街にひと筋通った坂道なのであるが、やはり坂の勾配のせいなのか――お婆さんの歩き方はひどく億劫に見えた。

私はお婆さんの、十歩ちょっと後ろを歩いていた。まるで足に鉛でもつけているかのようにお婆さんの歩きは遅く、息遣いの荒さまで聞こえてくる。あぁ、この分なら抜いてしまうだろうなと思った。それにしても、こんなに辛そうなのに、なぜ一人で歩いているのだろうと悲しくなった。帰りくらい、誰かが迎えに行ってあげればいいのに――お年寄りは生きる者と神様を結ぶ存在なのに、とお婆さんの姿に勝手に同情した。

すると突然倒れた。

「えっ、まって、ちょっと、大丈夫ですか?」倒れたのは無論私ではなく、お婆さんだ。すぐ傍にいたので駆け寄るまでもなく、肩や手に触れた。慌ててポケットの携帯を取り出しながら、縁起でもないが手をお婆さんの口にあてる。119に電話し、状況と住所を言いながら息を確認すると――思いっきり「ハァ、ハァ」と言っていた。動転するとそんな音も聞えなくなるのかと、少し恥じ入った。

それで、だ。

私は。

咄嗟に。

Kintaro2_1 これを夢見た。

いや、むしろまさに「コレしかない」と確信していた。










……救急車に同乗し、病状を確認したところ、幸運にもお婆さんはただの貧血だった。病院のベッドで点滴を打たれた数十分後、うたた寝から醒めるように目覚めたお婆さんに「ありがとう」と礼を言われ、なんだか心が温まった。

が。

それでも。

Kintaro2_2 私はコレを期待した。

いやもうこのとき、「きっと展開はコレっぽいものだ」と妄想を膨らませていた。……いや別に、画像の中村加代さんと、お婆さんが、どこか似ているからでは……決して、ない。




――帰宅して数時間後、もう深夜放送が始まる頃だろうか、お婆さんのご家族(娘さん)から電話があり、「どうもありがとうございました。もう高齢なので貧血といえど、馬鹿にできません。母は幸運でした。ありがとうございます」と、まるでハッピーエンドの映画を観て安心しきったかのような感激ぶりの言葉を頂いた。「重い病気でなくて良かったですね」なんて私も電話越しにお辞儀をしながら、お婆さんの無事を祝った。

しかし、だ。

Kintaro2_3 …コレ、は?
ねぇ、コレは?

という気持ちがどこかで拭いきれなかったのも事実だ。






ご家族からお礼に関する物品等に関する言及は無く、もちろんこちらから申し出るのも失礼甚だしいので何も言わず、笑顔で受話器を置いた。



「金太郎」、お前からなんだか現実を教わった気分だよ。コノヤロ。

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コメント

はじめてお便りします。毎回拝見しております。以前にチュウ太さんはこのブログを書くことで文章力を磨きたいとのコメントを掲載されてましたが、今回は文章力、表現力、ギャグセンス大変すばらしいと感じました。これからも楽しみに拝見いたします。

投稿: ウータン | 2006年10月 5日 (木) 21時45分

初めまして、ウータンさん。いつも読んで下さっているとは、本当にありがとうございます。
そ、それでですね、メールアドレスの欄にウータンさんの携帯メアドが載っていたので…念のためそちらは非公開にさせて頂きました。一応ネット上なので、その方がよろしいかと…。

文章力を磨きたい、というと、ちょっと照れくさいですが、まぁそんな感じです(笑)。どちらかと言うと脳年齢ってヤツの若返りを狙っているので、不純かもしれませんが…以前は出版社に務めていたので、毎月いくつかのページを制作するために何かしらの文章を綴ってはいたのですが、退職後は本当に何も書かない生活になってしまったのです。
ボケる、なんてことはありませんが、自分の脳内を言葉にする作業が減ると、なんとなく無感覚な人間になってしまった気がして、それでこのブログを始めました。
主婦って社会と触れ合う機会が本当に少ないですから…家事が仕事だと思って、意味不明にプロ意識を持って掃除や料理をしていても、どこか退屈なものですし(笑)。

>>今回は文章力、表現力、ギャグセンス大変すばらしいと…
えええ、ホメても何も出ませんよウータンさん(照)!! …本当にありがとうございます。自分の書いたものに直接レスポンスを下さる(コメントを下さる)だけでも嬉しいのですが、面白いと感じて下さるのもまた感慨ひとしおです。

今日はちょっと更新できないのですが、また明日から書こう、と自分自身も楽しく書けるような…背中を後押しされる気持ちになれました。ありがとうございます。

またお気軽に、思ったこと感じたこと、コメントしてくださいね。それでは…。

投稿: ちゅう太toウータンさん | 2006年10月 6日 (金) 05時53分

チュウ太さん、メールアドレスの件、恐縮です(^^ゞ 私は金太郎の足元にも及びませんがサラリーマンなので週末くらいしかスロット打てませんが、こちらのブログは毎回拝見しております。今後もご活躍を期待してます。

投稿: ウータン | 2006年10月 6日 (金) 07時26分

ウータンさん、お返事が遅れてしまって申し訳ありません。サラリーマンなどご就業中の方とは違って、ずいぶん気楽な暮らしをしているはずなのに、バテていました。。。
でもホント、働きながら自由に打つのは無理ですよね。アツいイベントなどがあっても、平日で行けなかったり…会社勤めをしていた頃、私も悔しい思いをしたことを覚えています。まぁ、三ヶ月にいっぺんくらい”風邪”をひいてイベント行ってましたが(笑。ダメ社員ですね)。
これからもお気軽にコメント下さると嬉しいです。記事の更新や、お返事が遅れたときは基本的に「負けすぎて落ち込んでいる」ケースが多いので、どうかお気になさらないで下さいね…最近はちょっと意味不明に身体を壊していましたが、滅多にないです(笑)。

投稿: ちゅう太to ウータンさん | 2006年10月10日 (火) 02時50分

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