何回か打ちに行ったのだけれど、しょうもなく負けてしまった。それ以来、ますますスロットへのモチベーションというか、期待感が薄れてしまって、打ちに行きたいという気持ちになることもそうなくなった。なぜかって、それはそれは、悲しい負けっぷりだったのだ。共感して頂ける方がいらっしゃることを願って、ちょっと振り返ってみよう。
愛鳥自身でエサをついばむようになったこと、そして体重が増加傾向にあることを確認、またそろそろ年末が近づいていることを思い出したころ、実に三週間ぶりにホールへ足を運んだわけだが、なかなか期待の持てるイベントが開催されていた。例えば秘宝伝や番長が1/2、北斗SE全台が設定6、また全機種に設定6が投入済みと――いや、いくら厳しい4.7号機と言えど、そこまで設定6を投入しては相当の赤字が見込まれるのでガセの可能性は高いことは承知していた。けれどもいつも足を運ぶホールなので、私も旦那もそれなりに観察した結果、まぁ設定6もそこそこ入っているような雰囲気であるし(例えば秘宝伝は1/3くらい)、中間設定がふんだんに使われている感もある。少なくとも通常のオール1ではないことは確かで、上手く立ち回れば勝率の上がる可能性も高かろうと、意気込んで行くわけだ。
●1日目~超能力が欲しいと願った日~
もともと秘宝伝も北斗SEも、絶対に打たないと決めているので――なぜかって、どちらもコイン持ちが悪いし、低設定を掴んでしまったら最後だし、ハイエナできるような台もそう落ちていないので――バラエティコーナーや、番長、鬼浜、あるいは5号機のシマで設定が良さそうな、あるいは初当たりまで投資がかさまぬような台を探す。
まぁ、そんなこんなで、鬼浜爆走愚連隊、2回のボーナス後470ゲームほど回った台に着席した。スイカ確率は1/200と、前任者が数回取りこぼしていてくれれば、まぁ高設定の望みもなくはない。そしてこの日、何より鬼浜の客つきは悪かった。おそらく激アツの秘宝伝や北斗SEに流れていたのだろうが、とりあえず全機種に設定6投入なのだ。未だ高設定らしき台は見られないし、一応、この台に賭けてみても良いと信じた。470ゲームまでにボーナスが放出されない鬼浜に、どれほどの高設定期待度があるのか果たして微妙だが、低投資で――つまり600ゲームあたりまでに――ボーナスが放出される可能性もある。
……と、このように、一応私なりに色々考えた上で、台選定をしたのだが。
いつの間にかデータカウンタが1100ゲームを超え、一体ナニがなんだかワケが判らなくなった頃、REGが放出された。その後、128ゲームをスルー。
こう言ってはなんだが、超能力が欲しいと思った。REG単発とは、吉宗同様、非常に精神的ショックが大きい。というのは、ボーナスが放出されたのになぜか追加投資、勘弁である。最初から判っていれば、絶対に打たない。いや、無理なのだけれど、なんとか超能力を下さいと天にまします神に願うのだ。小学生の頃、机から落ちたシャープペンが念力で戻らぬかと願ったのと似ている。いわゆる悪あがきである。
それでも、これ以上の悪あがきに走らず、ホールを後にした。家を数時間空けるのは久しぶりだったので、愛鳥が心配だったのだ。ナナカフェで連チャンに恵まれた旦那ともども、帰宅した。
●2日目~コレぐらいで勘弁してやるか、の日~
そして翌日、そのホールは同じイベントを開催していた。なんでもその週は、ホールあげての激アツイベント週間らしく、前日よりもさらに大盛況で秘宝伝・北斗SEは満席だった。番長も空き台は数台と、九割近くが稼動していて、別積みされたドル箱がそこら中にあって出玉も圧巻だった(だからといって必ずしも店がマイナスではないのだけれど)。この熱気に自分も混じれるよう願った。
この日は番長で勝負した。BIG5回、REG4回、ボーナス後150ゲームの空き台だ。普段ならせめて360ゲームまで回ってなければ触れぬ機種なのだけれど、この台に限っては謎解除(特定役解除)の後、連チャンしているので気になった。また朝イチ2ツブでボーナスが放出されている。RT解除ならばリセット濃厚、また97~128ゲーム以内の放出ならば設定4以上の期待が高まるし、謎解除であればますます純ハズレとやらを期待してしまう。少なくとも660ゲームまではヤメまいと着席した。
するとものの数十ゲームでチャンス目解除らしき幸運に恵まれ、BIGが放出される。そのBIG中にJACハズレ、次のBIGでJACハズレと、全てJACハズレによる1G連に5回当選しドル箱モリモリ状態となる。嬉しい。隣のお兄ちゃんの不審な視線を感じ、心の中で「何も持っていないよ」と連呼し、とりあえず腕をまくって消化した。
有難く嬉しかったのだが、当選した1G連は全て赤7であったこと、その後天国モードへ移行しなかったこと、何より投資が数千円で済んだことを理由にヤメた。もちろん高設定の可能性は拭いきれないけれど、番長の高設定は粘っても仕方がない。設定6を終日打って二千五百円負けた経験を持つ私は、苦手意識があるのだ。特定役解除に当選しなければ、設定1も6もほぼ同じ機種なのである。
というわけで、この日は「まぁコレぐらいで勘弁してやるよ」と気分よくホールを後にした。旦那もナナカフェで(どうやら好みらしい)即連モードの恩恵を受け、二人ともプラス収支と充実した日だった。
●3日目~口からエクトプラズムが流れるのを体感した日~
そして翌日、またまた旦那と連れ立ち打ちに行く。同じイベントが開催されていたし、特に旦那は二日連続でプラス収支だったので、モチベーションが高まっていたらしい。私もこの日勝てれば、三日合わせてプラス収支となる。二人ともヤル気は十分だった。
相変わらず秘宝伝・北斗SEの盛況ぶりには驚く。いや、秘宝伝は当然であるとしても、北斗SEが満席とは滅多にない光景なのではないだろうか。SEは全台設定6であることが本当だとしても、一人ぐらい毛嫌いする方がいてもおかしくない機種だと思うのだが…いやはや、この二機種の眺めは圧巻だった。
バラエティコーナーにも番長にもピンとくるような台もなく、5号機はなぜかほぼ満席、空いていても確率からするに低設定の可能性が高い台ばかりだったので、鬼浜のシマへとたどり着く。半分近くが稼動していたのだが、空き台から、あまりハマらず、スイカ確率もまずまず、連チャン率も半分以上の台を探すも――そこまで判断できるほど回っていない台ばかりが空いていて、困った。
仕方がないので、ノーボーナス250ゲーム回った鬼浜に着席する。言うまでもなく鬼浜は宵越しが狙える機種であるし、この台は鬼メーターが三つ点灯していたのだ。なるべく低投資での初当たり、その後の連チャン、またできることなら高設定であることを願っての台選択だった。
そしてその後、アッサリと――1150ゲームへ。ビックリした。ホンモノの天井に到達したのだろう。黒目のないコウヘイを倒した後、「天下無敵!」と溌剌とした声が響く瞬間、これが、ホンモノか…と一人溜息をついた。右リールに特攻図柄が停止したときは、「だったらなんで先に言わない」と意味不明に台を責めた。
無論、REG単発。スイカ確率も芳しくないため、台を離れた。
またまた旦那はナナカフェで楽しくボーナスを消化していたため、私も意を決してもう一勝負しようと、ホールをうろつく。
そんなとき目についたのが、バラエティコーナーにある黄門ちゃまである。BIG10回、REG9回、総回転数は千五百ゲームほど。確変が連続したのかと思いきや、200ゲーム代(つまり3ツブ)での放出がちょこちょこ目立つ。またデータカウンタでは確認できないが、総回転数が千五百ゲームならば、400ゲームはおろか600ゲームを超えることはなかったはずだと予想した――つまり、設定6の期待度が高いと判断したのだ。
そんなわけで、150ゲームで放置されていたその黄門ちゃまを打ち始めたのだけれど、いとも簡単に800ゲームを超え――REGが放出された。お祈りが効いたのか確変に突入し、再びREGが放出され、それで確変は終了した。
とりあえず250ゲームまでは打ってみようと根気良く回し続ける。諸国を漫遊する黄門ちゃまは、たまに大根を引っ張ったり、雪合戦をしてみたり、頑張ってくれるけれどウンともスンとも言わない。あっさり128ゲームを超え、もうほんと、勘弁して下さいと願いながらレバーを叩いたその時。
フリーズ。
神様って本当にいるのかな、と心が温まった瞬間だった。
BIGののち、確変へ。
その後REGが放出され、強気でBETを押すも…終了した。一瞬「なんじゃこりゃー」と心の中でわめいたものの、まぁ連チャンの可能性がないわけでもない。強気で、自分の選択したモードとRT振り分けを信じて、心を込めて打ち続けた…のだが。
280ゲームをスルーした。当然、フリーズで獲得したメダルも全てノマれ、手ひどく負けてしまったのである。
このとき旦那は鬼浜で楽しそうに連チャンしていて……「絶対コレ6だよ6♪」とほくほく顔で打っていた。口からエクトプラズムが漏れている嫁に向って、「ふーん、負けたんだ」と一言、その後「鬼浜ってこうなるとホント楽しいよなぁ」と満面の笑み。
ウザかった。コイツはいつもこうだと、苛立ちやら悲しみやらが込み上げてくる。とりあえず殴ってやろうかと思ったが――イヤ待てこんなときこそ平常心だ、と自制心が湧いた。一応私もオトナなのだから…と言い聞かせ、コーヒーガールのオネエサンにココアを注文して、ロビーのようなところで新聞を読んでいた。本当だったらこんなとき、マッサージに行ったりちょっと買い物をしたりと、他の時間のつぶし方もあるのだけれど、負けているので出費を抑えたい気持ちが働いた。
一時間後、旦那はまだ鬼浜を打っていた。連チャンは抜けたようだけれど、決して400ゲーム以上ハマることなく、まったりと打っている。あれから出玉が増加しているわけでもないのだからヤメてもよいのだが、旦那なりに設定6だと判断したのだからそういうわけにもいかないだろう。「お前ももうちょっと打ってくれば」と再戦を勧められ、まぁ気分も落ち着いたことだし…と再びホールをうろつき始めた。
かといってもう、鬼浜を打つ気分にもなれなかったし、こんな日に番長で勝てるはずもないと気弱になっていた。せめて高設定らしき5号機が空いていてくれることを願ったのだけれど(高設定だからといって終日粘る方が少ないので)、さすがに埋まっている。秘宝伝は大盛況で空き台はないし、SEなんて絶対に勝てない。どうしようどうしようと、店員が「あんた邪魔だ」と眉を潜めるほど賑わうホールを歩き回ったところ――ある台に食指が動いた。
一平様である。
もとい、「俺の空」であって――BIG15回、REG10回、総回転数3200ゲームほど。3ツブでの当たりが目立ち、データカウンタで確認できた最大ハマリは5ツブつまり400ゲーム代。俺モードにも移行して2~3連しているようだし、なんだかもうよくわからないけれど他の台に比べてボーナス回数が多かったし、ヒマだし、やってみようと思った。160ゲームでヤメられていた。
一平様は基本的に女性に優しいはずだ。一途で、芯の強い、善良な女性には間違いなく一平様は微笑むはずで――例えそれがパチスロで大負けし、みっともないオンナであろうともである。少なくとも私は「勝ちたい」という気持ちに関しては一途であるし、芯の強さと善良さが備わっているかはともかくなのだが、それだけは強く残された気持ちだった。きっときっと一平様は、カジノホテルを賭けた際と同様に私と戦ってくれるに違いない。
やはり一平様は優しかった。普段はヒケないイライラするリプ3連も、チャンス目も、あっさり成立させてくれる。前兆演出を味わいながら、ありがとう一平様、俺タイム頑張るからねと強い気持ちを込めながらレバーを叩く。
しかし、俺タイム中、リプレイが4回しか成立せずあっけなくスルー。
……一平様?
ゴルフって難しいものね…ともはや心はスロットを離れ、一平様と会話しながら打ち続けた。その後、再び俺タイムに突入するもあとリプレイ1回、というところで俺タイム終了。
……一平様?
それでも通常時のリプレイ3連を、実に調子よく成立させることができて――またまた俺タイムに突入するも、スルー。
……一平様……。
……疲れてヤメた。
もうやってらんねーぞ、と意味不明に番長打ったら天井REGを食らった後、旦那が「そろそろ帰ろうか」と、まるで遠足帰りの子供のように充実した表情でやってきた。すっげームカついた。いや、旦那が勝っていなければ我が家の家計はとんでもないことになっていたし、旦那が勝っていたからこそ様々な台で勝負ができたわけだけれど、わかっているのだけれど、すっげームカついた。
そんなわけで、三日間合計で私の収支は…ちょっと言えないけれど言ってみると、マイナス十万円ほどなのだけれど(ぎゃああぁ)、旦那が三日間合計で十五万近くプラスであってくれたため、二人トータルではプラスとなんとか、まぁ、よかったわけだけれど、ひどく精神的に参った。こうして思い出しているだけでも、もう二度とあんな目にあいたくないという――恐怖感が込み上げてくる。そりゃ、負ける日だってあるけれど、一日で三日分の負けをくらうとどうしようもなく気だるくなる。もちろんこんな大負けは初めてではないにせよ、一歩踏み間違えれば大変なコトになるのだと改めて感じると、とりあえず家に籠ろうと思うのだ。
そんな十一月ももう終わりにさしかかっているが、果たして来月は打ちたくなるものかどうか…この日の記憶が風化する頃、またホールへ向うのかもしれないが、このままスロットからフェイドアウトしつつある自分を感じなくもない。ハァ、全く、こりごりだ。