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2006年11月11日 (土)

デスノート日和

週末には打ちに行こうか、なんて旦那と話をしていても、しばらくスロットに触れていないと「まぁ、打たなくてもいいか」…と消極的な気分になる。打ちたいね、打ちに行けばよかったかなぁ、と思ったり互いに話したりもするものの、いまいち本気になれない。考えてみれば、スロット以前に二人で飲みに行くようなゆとりも持てなかったわけだし、私などは買い物にも満足に出かけられなかったのだから、まずそういった欲求を満たしたい思いが先立ってしまう。それに、亡くなった愛鳥は、間違いなく私達がスロットに興じている間に具合が悪くなったのだから――なんとなく、残った片割れの愛鳥を思うと、もう少し打つ機会を先延ばしにしたくなってしまうのかもしれない。もう随分よくなったのだから、長時間の外出など特別気にすることもないのだけれど。

そんなわけで、昨日はとりあえず買い物でもしようかと、服や化粧品を物色してみるもののピンと来るものもなく……結局「デスノート」全12巻を買って帰宅した。映画版の前編が先日テレビ放映され、その後劇場公開となった後編もオープニング三日間で興行収入12億円強と、今年一番の大ヒットを飛ばした大人気映画の原作である。やれやれ、せっかく外出してもマンガをオトナ買いとは、すっかり家に引きこもるのが好きになってしまったようだ。

映画前編がテレビ放映され、たまたま観ることもなければ、決して原作どころか「デスノート」そのものに興味を抱くことなどなかった。"名前を書かれた人間は必ず死んでしまうノート""死神"といった単語から連想して、ちょっと不気味で乾いた高校生の日常をゲームっぽい世界観で描いたものなのだろうな、と単純な先入観を持っていて、あまり自分の好みでない娯楽のように感じていた。

しかし映画前編を観てしまうと――ううむ、いまいち現実感の湧かない設定…例えば天才と称される学生の主人公や、Lと呼ばれる世界トップレベルの探偵的指揮官(しかも若者)などなど、即時に感情移入はしづらいものの――面白かった。もともと先が気になる恋愛以外のハラハラドキドキストーリー全般は、大好きなのだ。つまり「余り馴染めそうもない設定だなぁ」とそれなりの理由をもって敬遠してみるものの、それはただの食わず嫌いで、観てしまえば面白いと大したコダワリも見せず太鼓判を押してしまうような、ポリシーのない人間なのである私は。

先が気になるものの、映画後編は何でも大賑わいで劇場も随分込んでいるという。旦那も私も人ごみは苦手ではないものの、どちらかというと映画館でも寛いでいたいので、いま少しブームが落ち着いてから劇場へ足を運びたい。というわけで、原作を手に入れたわけだ。

本作は週間少年ジャンプで連載されていたもので、原作は大場つぐみさん、漫画家は「ヒカルの碁」で知られる小畑健さん。少年ジャンプは全く手に取る機会がなかったので、これが初読となったわけだけれど、なぜ今まで読まなかったのだろうと後悔するほど面白かった。若干、ネームの量が多く、画よりもセリフでストーリーが進んでいく手法に疲れたし、いっそのこと小説にしてくれたほうが読みやすかったが――やっぱり面白かった。

あらすじに関しては、まぁ既にご存知の方も多いだろうし、あるいは未読の方にはネタバレとなってしまうので省かせて頂くが――自らの信じる正義こそが、正当なものなのであると主張する二人の若者の対峙が、スリリングにそれでいて少年マンガチックに描かれている。そして正義という価値観が示すものは、人物や世相や諸々の状況によってカタチを変えてしまう不条理なものであること、だからこそ最終的には自ら判断することが必要となるのであるという、なかなかオトナがコドモに教えづらい面倒事を上手く表現しきっており――こういった作品を子供が読むのは、良いものだなぁと感じた。

"デスノート"によって死んでいく人間は基本的に罪を犯した――殺人などによって他者を傷つけたり悲しませた人間なのだが、彼らが死んで当然な存在なのか、当然であっても罰に至るまではどのような経緯であるべきなのかを一考させられる。確かに人間がバタバタと節操なく死んでいく展開は、所謂コドモ向けではないのかもしれないが、こういった疑問を享受することはむしろコドモにとってはプラスに働くかもしれない。昨今、殺人者に対する罪と罰の天秤が果たして釣り合っているのか、オトナですら判断のつかない風潮であるのだ。

また主人公が"デスノート"を所有するきっかけとなった"死神"の存在であるが、現実にいないキャラクターのわりに一番現実的な存在だった。退屈だから、面白いから、といった理由で主人公に憑き、デスノートを使用する様を見続け、最終的に主人公が追い込まれると「もう退屈しのぎは終わりだ」とアッサリ見放す。仮にも主人公は主人公なりの正義のために懸命になっていたのだが、全く情を移さず、かといって主人公の敵に感情移入したわけでもなく、ただ、面白くなくなったからと主人公を殺すのだ。
第三者とは常に、圧倒的に他人事な判断をするものだが、曲がりなりにも人を幸せに導くのだという優しげな夢にですら「エンターテインメント」を求め、つまらなくなればポイ捨てするという一見、非情ぶり。しかしこれが――例えば痛ましい殺人事件の報道を見つめる、私を含めた一般的な聴衆の姿なのかもしれない。

先に述べたように、あまりファンタジックなストーリーは食指が動かないのだけれど、ここまでのめり込んでしまうとは思わなかった。「正義」を取り巻く世の中の様々な存在が象徴的に描かれた本作は、コドモはおろかオトナが読んだって十分に楽しめる。原作コミックスは既に完結しており、ブームで品切れの書店も多いと聞くが、機会があれば一度手にとってみては如何だろうか。

DEATH NOTE (2) Book DEATH NOTE (2)

著者:大場 つぐみ,小畑 健
販売元:集英社
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コメント

絵がキレイっていうのはそれだけで評価上がりますよね。
私はジャンプで読んでいて好きでした。
ネームの量もそれほど気にならなかったし。
でもそれは初代Lまでで、2代目Lからはネーム量に辟易してました。
もう少しまとまってれば良かったなぁ。
作品としてはほどほどの長さで完結し、良い物だと思います。

投稿: kaki | 2006年11月11日 (土) 20時23分

どうもです♪

私も友達が進めてくるんですけどまだ読んだことがないんですよ・・・。ちょっと前にテレビで見たときはそこそこ面白かったんで、満喫にでも行ったときは読み漁ろうかと思います^^;

正義・・という話題が前回の記事とつながっていたのも非常にグッドでした♪

投稿: セイジョージ | 2006年11月12日 (日) 00時27分

おはようございます、kakiさん。
そうですよね、絵もキレイですよね♪ それだけで「読んでみようかなぁ」とそそられることもありますし。

そうそう、特に2代目からは突然ネーム量が倍増しましたね(笑)。ちょっと先急いでいるような感がありました。なんででしょうね。どうしても108話で終わらせたかったのでしょうか…?
でも、無駄に引き延ばすこともなく、人気はあっても展開的には終わるべきところで終わった良作ですよね。人気漫画って、ダラダラ引き延ばされちゃって、しまいにはつまらなくなって終わってしまうことが多いし…。

初代Lは個人的に好きなキャラクターです。もう大好き(笑)。
途中、主人公とほのぼのムードになったり(…ケンカもしてましたが)、ミサちゃんに「好きになりますよ?」なんて冗談めかして言ったりしますよね。あの辺、笑えましたし好きでした。
とんがった主人公も、Lみたいなお友達がいれば、デスノートを持ってもあんなこと考えなかったのかなぁ~、なんて思うとちょっと悲しくなってもしまったり。。。

投稿: ちゅう太to kakiさん | 2006年11月12日 (日) 05時40分

セイジョージさん、どうもです♪

おぉお、セイジョージさんも未読だったのですね。私も金曜日に読んだばかりですよ(笑)。
面白いですよー。まる一日、ずーっと読んでいました。。オススメですよ。
やっぱり食わず嫌いはよくないなぁと反省しました。ヒットしている作品は何かしら面白いものですね。といっても、「のだめカンタービレ」だとかは読みませんが(笑…絵が苦手なのです)。

正義…という話題に関しては。。。
タマタマでした…はい。。。


投稿: ちゅう太toセイジョージさん | 2006年11月12日 (日) 05時59分

どもじゅぁきです^^/。

ジャンプは結婚前に読んでました。
サンデーとマガジンも読んでて、お小遣いが足りないので、3誌の中でジャンプをやめてしまいました。
マガジンは当時、哲也とかいまもやってるゴッドハンド輝とかあったし、サンデーはほとんど作品が好きなので^^;;。

ジャンプは特定の漫画は面白いけど、それ以外が趣味に合わないので、どうしてもやめる候補になってしまいました。
で、面白い部類にデスノートは入ってました。
このデスノートの短編も結構面白かったけど、もうちょっと大人向けに直したのかな?

ライトの父親がLと一緒に、FBIの捜査官の婚約者がでてきたくらいでやめちゃったので、続きは気になってました。

そういえば、サンデーのハルノクニもちゅう太さん好みかなぁ?
一国の総理と高校生のテロという話ですが、かなり少年向けに書かれているものの、内容は好きでした。
隠されてるメッセージは今必要なもののような気がします。
もうすぐ連載終わるところですが、たぶんハッピーエンドのはずです。
サンデーはそれが売りですから(笑)。

デスノートはもうちょっとするとBOOKOFFでセットで安く買えると思うので、買うかもしれないです(笑)。
やっぱり、気になる続きと最後の場面♪

投稿: じゅぁき | 2006年11月13日 (月) 09時33分

どもです、じゅぁきさん♪

ジャンプやマガジンって、もう長いこと手にとっていないのですよ~。どちらかというと、スピリッツ(最近は読んでいませんが)、ヤングジャンプ、ヤングサンデー、モーニングなど、何て言うのでしょうか?「青年誌」?の方を、読んでいました。
だから全く、ジャンプやマガジン、サンデーで何がアツい作品なのか知らなくって、デスノートはビックリです。面白いですよー、一気にハマってしまいました。

もっとビックリしたのは本屋さんで、何でも映画公開前後からデスノート全巻の売れ行きがすこぶる好調なのだそうです。全巻売り切れのお店が多いので、私も実はいくつか本屋さんを回りました(笑)。
なので…ブックオフに出回るのはもうちょい先かと思われますが、それだけ売れているということはおそらく沢山出回ると思います(笑)。本当はそれまで待とうか、と思ったのですけど…誘惑に負けてしまいました。

サンデーを読んでいないので、「ハルノクニ」という作品は未読なのですけど…面白そうですね。やっぱり、若者が政治や国家機構の役目に対して疑問を提示する形式っていうのは、最近の流行なんでしょうか? でもまぁ、若者ってそういう部分が強いし…。どちらにせよ、若者がちょっと啓発されるような漫画っていいですよね。
ハッピーエンド大歓迎ですよー。ハラハラドキドキは大好きですが、ハッピーエンドでないと悲しすぎます。なので例えば、アンフェアも犯人が安藤であって欲しくありませんでした(涙)。

投稿: ちゅう太toじゅぁきさん | 2006年11月13日 (月) 10時36分

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