« フセイン元大統領の死刑執行動画、流出 | トップページ | 新年一発目の風邪。 »

2007年1月 8日 (月)

やり直しがきかないのは何事も同じなわけで

その日、旦那は秘宝伝を打っていた。

新年の三が日も過ぎ、通常営業へと戻ったその店ではいつになくアツいイベントが開催されていた。確かに十二月から「鼻クソも出ない」(旦那談)ほどの回収営業であったから、少しゆるめたのかもしれない。加えて、カレンダー上のその日は平日で、世の中では仕事始めと呼ばれる日だった。それなりのイベントを開催せねば集客は難しいだろうし、「屁も出ない」(旦那談)ほど回収したのだから、多少の赤字を叩いても店にとっては痛くもないだろう。

そんなわけで二人で打ちに行ったのだが、私は番長で苦しんでいた。データから高設定を期待して380ゲームから追いかけたものの、あっさり千ゲームを超え、ようやくのチェリー解除もREG単発で終了してしまい…肩を落としてホール内をへろへろと歩いていた。

すると旦那は秘宝伝を打っていて、未だに現金投資をしている。

「なんで秘宝伝打ってるの?」
「なんとなく」
「……あっそう。番長負けた」
「番長なんか打つんじゃねーよ、あんなもの設定関係ないだろ」
「うるさい」

好みの機種も立ち回りも異なる私たちは、大概ホールでこんな口を叩きあう。まぁ、ごく普通に考えると、今回のように高設定が期待できるイベントでは設定推測のしやすい秘宝伝に着席するのが最善なのだろう。判ってはいるけれど、その店の秘宝伝には激しく怪しいウワサがあって、むしろ設定推測なんて意味がないんじゃないかと思ってしまう私は敬遠していた。旦那はアチラ側であれナンであれ伝説に入ってしまえばいいのだと、えらく楽観的なタイプなのでこうして着席しているわけだ。

番長でモチベーションの下がった私は、しばらく旦那の傍で見ていたのだが。

旦那の左隣に座っているオバサマがボーナス確定したのだけれど、どうにも上手く揃えられない。ベージュ色の上品な染髪にゆるやかなパーマ、細い金具のメガネに薄化粧のそのオバサマは、たまにこの店で見かける常連さんだった。なんとなく素振りがつつましくて上品で、印象に残る方だ。
いつもは旦那さんと思われる、初老の男性と並んで打っているのだけれど、今日は別行動らしい。きっと目押しを頼む方がいなくて、困っているのだろう。

言うことをきいてくれぬリールに困惑したオバサマは、旦那をじぃ…っと見つめた。

進んで目押しをすることはない旦那だけれど、頼まれればもちろん引き受ける。ちょいちょいとBIGを揃えて、オバサマがお辞儀をした。

こんなことを言うのもナンだけれど、旦那は目押しだけは上手だ。コンドルだのビーマックスだの、あの頃から打っているので当然なのだけれど、大花火のリプレイハズシも躊躇することなく即座にBARを停止させていたし、ボーナス図柄を揃えるときもリールを一回転しかさせない。ポンポンポン、と滑らかに図柄が揃う瞬間はなんだか気持ちがよくて、私もいつか真似てみたいものだと思う。無理だろうけど。

その後、オバサマは伝説ロングに突入したらしく、ボーナスが確定すると旦那を見つめ、旦那が揃えるという流れが出来上がっていた。そんな行動がラッキーを呼んだのか、旦那も幾度かのBIGの後、伝説ロングへ入ったらしい(なんでも伝説ロング確定演出が出現したらしいのだけれど、私はよく判っていない)。

「BIG中に5回はハズレあるし…店が店だからよくわからんけど、設定6ではないだろうから、連チャンするんでない?」
意気揚々と旦那は箱を使い始める。

私はちょっと前に出た。

「ねぇ、この台、私が打つ」
「えっ」振り返る旦那。
「ヒマだし、負けてるし、私が打つ」
「マジで?」
「うん」
「………」

じゃぁ、オレは他の台を打ってくると旦那は席を立った。負け分を取り戻したい私はそれはもうヤル気まんまんで、高確やボーナスを楽しく消化していた。

すると程なくして、オバサマがこちらを覗きこんでくる。

目押しの合図だ。

一瞬、引き受けるべきか躊躇した。確かに目押しがいくら苦手だとはいっても、ボーナス図柄ぐらいは揃えられる。ただ他人様のものとなると……きちんと全うすることができるのか、不安だった。妙な迷惑や不快感を与えたくはないし、そんな可能性があるのなら断った方が無難だろう。「私はちょっとヘタなので…」と言えばよい話だ。
しかし、オバサマは私が自分のボーナスを揃えているところを見ているわけで、「自分のはできるのに、私のはやってくれないの?」とガッカリしてしまう可能性だってないわけじゃない。常連さんと特別会話をするわけでもないけれど、わりと顔を合わせる機会の多い方と気まずくなりたくもない。

どうしよう。

……やってみてもいいんじゃん?(←心の声)

ええい。

リール上でやたら光沢を放っている、あの7を狙った。

ハズした。

……やべっ。(←心の声)

「すみません、もういっか…」私は、もう一回、と言おうとした。




「もういいわ、ふぅ(溜息)」



へっ。

オバサマはポチっとコールボタンを押し、小走りでやってきた若い男性店員に目押しをしてもらい、こちらには一瞥もくれなかった。

チャンスは一回だけなのだ。やり直しなんて、きかないのだ。



それから間もなく、台までもが「オマエは用済みだ」と言わんばかりにアッサリ伝説から転落し、私は一箱抱えてヤメた。この一箱のうち半分ぐらいは旦那の出玉なのだけれど、もちろんネコババした。ちょっと切ない気持ちを埋めるには、そうするしかなかったのだ。
厳しすぎるよ、オバサマ…。

|

« フセイン元大統領の死刑執行動画、流出 | トップページ | 新年一発目の風邪。 »

コメント

こんにちは!
おばさま・・・いくらなんでもそれはひどいですよね(汗)
秘宝伝なんてBR比率が1:1ですし・・・。
まあ私の意見としては、目押しを人に頼む時点でもう何をされてもかまわないと思っているので、そんなことは気にしないでいいと思いますよ^^
それが人にモノを頼む態度か!!!
って思えばいいと思います♪
無論、そんなところに年齢なんて関係ないと思いますしね^^;

投稿: セイジョージ | 2007年1月 8日 (月) 13時46分

目押しはできなくはないけどかなり苦手です、私も(笑)。
B-MAXではずしはなんどか失敗するし、大花火は1/5くらいでバー失敗するし^^;;。

そういえば前に書いたかもしれないですが、あまりに稼動してない機種(プレイガール)を打っていた時にとなりのおじいさまが、
「すいません、揃えてくれんかね」
っていわれて狙ったところ揃わない。
あれ? あれ?
と思っていると、リーチ目もでない。

「あの~、これってボーナス入ってないんですが・・・」
今のように完全告知もなければ、3号機の裏物かもしれない機種なのでリーチ目が頼りだ。
しかし3,4回狙ってもでない。
で、聞いた答えが

「これって狙えば揃うんじゃないの?」
ヾ(ー。ー;)オイオイ…

ま、確かに私はその時にありえない連荘してましたよ。
でも、一応リーチ目出て狙っていたわけで・・・。

さて、どうしようかと思った時に店員が現れ
「あの、コインの貸し借りはちょっと・・・」
そりゃそうだ(笑)。
ただ、失敗したから自分のからつい入れていたのだ。
で、おじいさまは
「借りてなんぞいない! 7が揃わんじゃないか!」
と強気の発言orz。

すぐに店員に事情説明し、おじいさまの相手をお願いしたところ、
「あっそうですか、失礼しました」
とあんがい素直に謝る。
気をよくした私をどん底に突き落とした言葉が続いて出るとは思わずに・・・。

店員「では、説明をしてあげてちあだきますか?」
私「え?」
店員「こちらも忙しいので、できればお客様同士で」
私「・・・」

ま、その後に5分くらいかけて説明しましたよ(笑)。
おじいさまは臨時で大金が入ったらしく、じゃでるまでやるという。
結局、こんな目がでれば7狙ってと教えて自分も連荘を消化。
おじいさまは10kくらいでリーチ目でたので教えてあげると、揃えてというので揃える。
でも、この時に一回失敗したorz。
横からだと以外の難しいのだと知った(笑)。

その後、おじいさまは連荘モードに突入したらしい。
目押しは3回失敗すると頼まれる。

が、気が付けば私はモードから抜けていたのでやめようとすると、
「おや、もう終わりかい?」
「はい、しばらくコインでない状態になったので」
「う~ん、そうなんだ。困ったなぁ、先生がいないんじゃ私も帰るかなぁ」
「いや、そこはたぶんまだでますよ!」
「でも、そろえられないんじゃ。」

この後は自分はコインを交換し、またおじいさまのところに行き、なんと自分は打たずに隣で話しながら連荘が終了するまで付き合ってしまいました(笑)。
まぁ、一人で暇だったからできた事です。

で、この時にもなぜか目押しが失敗。
どうもタイミングが取りづらいですね、人のって・・・。
緊張のせいと納得するしかありませんでした^^/。

PS 私もおじいさまも4,000枚くらいでました(驚)。

投稿: じゅぁき | 2007年1月 9日 (火) 13時13分

1回で、ふぅ、はヒドイですよね(笑)

私が行ってる店だと店員が10Gくらいかけることもあるんですけどね。
プロ(?)でもそんなもんなんだから、隣の人に頼んでおいてそれはないだろうと(笑)

自分が初めて他人のボーナスを目押ししたのはなんと10年以上前、学生時代のことです。
設定1だ6だも知らないで打ってた当時の自分ですが、
某3号機でとなりのおばさまに頼まれてしまい、おばさまより自分がマシなのはわかっていたので、しょうがないから回転にあわせて首をタテに振りながら、えい・えい・やー!(爆笑)

ハズレましたが、2度目でどうにか成功しました~。死ぬかと思った。


今でも頼まれたら or 店員呼んでるのに来るのが遅いときとかは押しますけど
(自分で揃えたい人かもしれないので、自分からやることはない)
「ナンダヨー」って思われるのイヤなんで、初回だけは超気合い入れて押しますよ。
もう、3回転くらいみながら(笑)

んで、ストック機だと当然ですが、何度も揃えてあげることに、よくなりますね。
で、そういう時は結構そのあと運がやってきます。
そういう後の展開を考えると、隣の台の目押しってのは、ビタハズシばりにしくじってはいけない目押しと言えるのです!(超オカルト)

あとは、たまにジャグラーで1枚がけで自分で揃えるおばさまとか見ると無意味に嬉しくなりますね。


以上、新年初のデスバレーのビッグでビタフラグ判別&ビタハズシを合計6回全部しくじった目押しがヘタなチビ太郎でした(苦笑)
#素直に黒7ハズシしとけばよかった・・・

投稿: チビ太郎 | 2007年1月 9日 (火) 16時42分

どもです、コメントの公開やら色々遅れてしまって…
8日どころか10日になってますし(汗)。もう度々のことになってしまっていますが、申し訳ありません。

いやー、もう…
物悲しかったですよ、この日は(涙)。

まぁ引き受ける私も私なんですけどね(笑)。苦手なのは自覚しているのだから、店員さんを呼べばスムーズなわけですし…。
心のどこかで、旦那がオバサマの目押しをしているのを見て「私もやりたい(ちょっとカッコつけたい!)」、という気持ちがあったわけでして。。。

目押しがもっと上手であれば、「頼んでおいて何さ!」と素直にプンスカすることができるんですけど(涙)。

……と、反省はするものの、
やっぱり悲しかったです。びえええええええ(涙涙)。
慰めてくださってどうもでした。
ちょっと救われましたよ…ほっ。

投稿: ちゅう太toセイジョージさん | 2007年1月10日 (水) 03時06分

て、店員さん!
「こちらも忙しいので」って……(笑)。
いえ、笑っては失礼なんでしょうけど…すみません、ちょっと面白かったです。
それにその頃って、店員さんがお客にそんな風にお願いできる、大らかな雰囲気だったのかもしれませんね。

それはそうと……実は私も、スロットは7を狙えば揃うものだと思っていましたよ……。「揃う状態」っていうモノが理解できませんでした、当初は(笑)。
でも、その7を揃えることは本当に難しくて、その技術に精通している方のみが沢山出せるものだと、真剣に思い込んでいました。設定なんてものがあることすら、知りませんでしたしね。
ま、まぁ確かに難しいものなんですけど…
今思うとちょっと恥ずかしいです…。。
でもだからといってはナンですが、お爺さまの気持ちがとっても理解できます。
初めて打ちに行く前に、雑誌でも読んでみればわかることなのに、なぜか情報収集をせずに足を踏み入れてしまうわけで(笑)。めちゃくちゃ、向こう見ずですよね。

幸い、私は大学の悪友何人かと一緒に行ったので、見知らぬ方にお願いすることはなかったのですが、……もちろんその友達に「とりあえず7揃えて」と言ったわけです。
しかも、アラジンで。
目をむいて「バカ!」と言われました。。。

でもお爺さまもじゅぁきさんもいっぱい出して、よかったですね♪
「先生」とまで慕われたら、もう出て欲しいですよね(笑)。なんだかそのお爺さまいいキャラですよね~。
打ち終わっても話しながらご一緒されたこと、理解できます。

あ、そうそう…
冒頭でビーマックスもろもろの話題が出ておりましたが…。

あの頃の機種で、ハズシやら何やらにトライしている方と、
押し順ナビや逆押しオートに慣れきった私では、
おそらくとんでもなく差があると思います。

私がマトモに通うようになったのは吉宗や北斗あたりからで、
その時既に画面のナビ通りに打っていれば、ボーナス獲得枚数の損をすることは特になかったわけで…
うーん、何て言えばよいのでしょう。
スロットの「ゆとり教育」を受けたようなものです。
……違うかな、この例え(汗)。。。

ま、まぁそんな私が目押しを引き受けることが間違いで、よい教訓となりました…。。。ぐすん。

投稿: ちゅう太toじゅぁきさん | 2007年1月10日 (水) 03時27分

お久しぶりです、チビ太郎さん。それでもって、今年もよろしくお願いします♪

1回でふぅ、は…
めちゃくちゃ悲しかったですよ(涙)。
苦手だって判っているくせに引き受けたことですし、怒りはこれといって覚えなかったんですけど…
なんだか咄嗟に悲しくなっちゃいました。オバサマ、期待を裏切ってゴメンよと…。

えいえいやー!ですか。
いや、ホント、そうなるんですよね!(激しく共感)
心の中で、やったら大きな掛け声が鳴り響いてしまうわけで。
それぐらい緊張してしまうんですよねー…しみじみ。
せっかく頼まれたわけだし、コイン数枚と言えど相手のオカネなわけで、きちんとやりとげたくて…緊張してしまうんですよね。
それでいて、なんだかもう周囲がとても上手に目押しをしている気がして(いや実際にそうなんですけど)、余計にプレッシャーを感じてしまうわけで(笑)。

>>「ナンダヨー」って思われるのイヤなんで…
そうなんですよね。自分がお願いする立場であれば、特にそんなこと思わないのに…
気持ちよく隣同士で打ちたい一心ですよね。しみじみ。

それから、確かにオカルトなのかもしれませんけど、「その後運がやってくる」というのはよく判ります。不思議ですよね。
私はあまり隣の方に目押しをお願いされることもないのですが(そりゃそうです)、例えば「これ、入ってるのかな?」と質問されて答えたときや、ボーナス後何ゲームでヤメてもいいか聞かれたときや…
その後、特定役解除や連チャンがやってきて、ほくほくした記憶は少なくないです(笑)。隣の方にむしろ、感謝(笑)。

考えてみれば、今回の旦那だってオバサマの目押しをした後に伝説モードに入ったわけですし。やっぱりいいことはするものですよね~♪
……まぁ、しくじった私が転落したのも、当然かもしれません……。運の流れ、恐るべしです。。

それはさておき、ですね。
チビ太郎さん、ビタ押しにトライしている、いえ正確に言うと「トライできている」方は「目押しがヘタ」とは言いませんよ。ふふふふ…(←意味不明な笑い)。
ビタ、ってちょっと…リズム感のない私はもう、どう指を動かせばよいのやら…
てんてこまいになって、余計に目が回ってしまいます(笑)。

でもこれから5号機となるわけですし、いつまでも苦手と言っていたらどんどん機械割を下げてしまうので、損をすることを恐れずに色々練習してみようかなと思う今日この頃です。

投稿: ちゅう太toチビ太郎さん | 2007年1月10日 (水) 03時51分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« フセイン元大統領の死刑執行動画、流出 | トップページ | 新年一発目の風邪。 »