日本代表はいつも弱い
北朝鮮に敗退した若き日本代表だが、全くもってなっていない。いや、選手たちはそれなりに力を尽くしたのだろうし、そもそも私はフィールドでボールを蹴れるほど、あるいは選手顔負けの解説ができるほどサッカーに精通しているわけではないのだけれど、それでも負けたとなると気分が悪い。経済制裁政策や朝鮮総連への圧迫が進む状況の中、サッカーは負けましたではカッコ悪く、情けない。国際試合は決して高校生の試合とは異なり、国の威信を背負ったプロチームが力を競う場なのだから――選手にはもっと大人になってもらいたい。
ワールドカップで後ろ指をさされながら日本を去ったジーコだが、彼の残した言葉で印象深いものが二つある。一つは「サッカー選手はフィールドが”会社”なのだから、金髪やピアスといった風貌は慎むべき」といった内容のもので、Jリーグ開幕時、彼が鹿島アントラーズに在籍した際、選手へ伝えた言葉だ。金髪もダメ、ピアスもダメとは決して体育会系特有のそれではなく、ただ選手へサッカーを生業とする社会人としての自覚を促したかったのだと思われる。サッカー選手はサラリーマンのように堅苦しいスーツを着込んで出社しなければいけないわけでもないし、むしろオシャレな方がテレビや雑誌やらでチヤホヤされる。特に当時、Jリーガーといえばそこそこアイドル的な人気があった。ジーコはそこに釘を刺したい気持ちもあったのかもしれない。あくまでも仕事なのだから、社会人として真摯な態度でサッカーに挑むべきというわけだ。
もう一つはワールドカップの最中、彼が記者会見で放った言葉――「仲良しチームではやっていけない」である。余りに思わしくない結果が続く現状を記者たちに責められてのセリフだったが、ひどく納得してしまった。
今年のことなので記憶に新しい方もいるかもしれないが、日本代表はとにかくチームワークが悪かった。原因は様々なのだろうが、一部では中田選手がキャプテンと戦略も性格も折り合っていないとか、ひとり浮いているといった報道もあって、それらはまんざら嘘でもないのだろう。まぁ、他人が自分と異なる性格や思考を持っているのは当然のことで、あれだけ人数が集まればぶつかり合ってしまうこともあるだろうが――ジーコにとってはハテナな状況だったはずだ。自国チームがワールドカップ出場権を得、その代表となっているのに人間関係などにかまっているのだから。むろんそういった選手たちを招集したジーコにも監督としての責任はあるし、試合での采配ミスも決して否定できない。それでもさすがに人間関係のもつれが浮上するなんて国の代表が聞いてあきれる話であるし、そもそも責任者である監督が下した決断を全うするのもプロ選手としての勤めであるはずだ。プロであり代表であるならば、自らが気持ちよくプレイすることを目標にされては困るのである。結果を出すために、プロとして代表として大人としての責任とプライドをもって尽力するべきであるのに…、という言葉が「仲良しチームではやっていけない」であると思う。
カミサマにこんなセリフを吐かせた今回の日本代表は非常にみっともないし、失礼なのだが――とどのつまり、一体何が情けないかって――Jリーグが開幕した十数年前も今年も、ジーコは「自覚を持て」と言っているのだ。プロ選手である自覚や国の代表選手である自覚といった自らの立場を省みろと、もっと噛み砕くと早い話が「オトナになれ」というわけだ。Jリーグ元年と同様のことを今年、日本のサッカー選手は言われているのである。技術云々ではなくメンタル面の稚拙さを現在も指摘されているのだから、なんとも悲しく情けない話だ。
しかしこれは観客である私たちにも当てはまる内容であって、そうそうサッカー選手ばかりを責めてもいられない。いつもいつも「きっと勝てる」「必ず突破する」だの希望ばかりまくしたて、負ければ「善戦した」とチームを甘やかす報道もサポーターも改善されるべきだ。特にサポーターにいたっては、敗戦後、スタジアムを映すカメラに向ってピースサインを繰り出すあの姿勢――勘弁して欲しい。自らも12番目の選手と名乗り、真剣に応援しているのならば、敗戦直後にカメラに向って笑顔はおろかピースサインなどは出来ないはずだ。しかも全国どころか全世界に放映されてしまうわけで、日本人として非常に恥ずかしい。所詮、日本でサッカーワールドカップなどはただのお祭りで、それに乗じたヒマな人間が応援している――中にはそんな人間がいてもよいのだけれど、さすがに全世界に向ってそんな恥部を露呈する必要もあるまい。サポーターとして観戦した立場を考慮し、自粛するべきだ。ワールドカップ・ブラジル戦終了後さいたまスタジアムの様子が報道された際、ひどく苛立ちを覚えた。アナウンサーも「試合は明け方でしたが、サポーターはみんな元気です」……茶番である。よき代表を育てるためにも、そしてあらゆる試合観戦をさらに充実させるためにも、観客である私たちの意識もシビアに変えなければならない。まぁ愛国心がどうので揉めているような現状では、選手や観客どころか、ろくなオトナが育たないのだろうけれど。
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